剝、不利有攸往。
剥は往くところあるに利しからず。
剥は、行くところがあるのはよくない。
剥は「はがれ落ちる」ことです。下から五つの陰が伸び、上に残る一つの陽が尽きようとしている形で、陰が盛んになって陽が消えていく九月の卦だと朱子は言います。小人が勢いを増し、君子が苦しむ時です。また内の坤は従い、外の艮は止まるので、時の流れに従って止まる象もあります。そのため、往くところがあるのはよくない、と占われます。動けない時にどう身を処すかが問われる卦です。
K-magpie › カササギ診断 › 今日の卦 › 山地剥
下から伸びる陰が、残る一つの陽を剥ぎ落とそうとする時を表す卦です。進まずに止まる時ですが、陽は尽きずに大きな果実として残ります。
下卦は坤(☷、地)で性質は「順」、上卦は艮(☶、山)で性質は「止」です。朱子は、五つの陰が下から伸び、一つの陽が上で尽きようとする形を「剥がれ落ちる」剥とし、九月の卦としました。時に従って止まる象から、往くところがあるのはよくないとされる卦です。
卦全体に掛かる言葉です。変爻がないときに読みます。
剝、不利有攸往。
剥は往くところあるに利しからず。
剥は、行くところがあるのはよくない。
剥は「はがれ落ちる」ことです。下から五つの陰が伸び、上に残る一つの陽が尽きようとしている形で、陰が盛んになって陽が消えていく九月の卦だと朱子は言います。小人が勢いを増し、君子が苦しむ時です。また内の坤は従い、外の艮は止まるので、時の流れに従って止まる象もあります。そのため、往くところがあるのはよくない、と占われます。動けない時にどう身を処すかが問われる卦です。
『象伝』が上下二つの卦の象から卦全体を説いた一文です。
山附於地、剝。上以厚下安宅。
山の地に附くは剥なり。上以て下を厚くし宅を安んず。
山が地に付いている。これが剥である。上に立つ者はこれにならい、下を手厚くして住まいを安らかにする。
上卦の艮(山)が下卦の坤(地)に付いている姿です。朱子はこの句に注を付けていませんが、本文は、上に立つ者が下を手厚くすることで、自らの住まいを安らかにする、と結んでいます。
一番下の初爻から一番上の上爻まで順に載せました。爻名の九は陽爻、六は陰爻を表します。
剝牀以足、蔑貞凶。
牀(しょう)を剥するに足を以てす。貞を蔑(ほろぼ)す。凶。
寝台を剥ぎ落とすのに、まず脚から始める。正しさを滅ぼす。凶。
剥は下から起こるので、まず寝台の脚が削られていく姿で描かれます。朱子は「蔑」を「滅ぼす」と読み、正しさが滅ぼされれば凶だ、とこの占を説きました。崩れが目立たない足もとから始まる、という描き方です。
剝牀以辨、蔑貞凶。
牀を剥するに辨(べん)を以てす。貞を蔑す。凶。
寝台を剥ぎ落として、その枠にまで及ぶ。正しさを滅ぼす。凶。
「辨」は寝台の骨組みにあたる枠のことで、剥がれが脚から一段上へ進んだ姿です。朱子の注は「進んで上った」と言うだけですが、初六(しょりく)と同じ「正しさを滅ぼす。凶」が繰り返されることで、害が着実に上へ迫っていることが示されています。
剝之、无咎。
之を剥す。咎なし。
剥ぎ落とす時にあって、咎はない。
陰がそろって陽を剥ぎ落とそうとする中で、六三だけは上九(じょうきゅう)の陽と応じています。朱子は、仲間から離れて正しい者に従うのは咎のない道であり、占う者がこのようであれば咎はないと読みました。周りの流れと違う側に立つことが、ここでは正しさになります。
剝牀以膚、凶。
牀を剥するに膚(はだえ)を以てす。凶。
寝台を剥ぎ落として、肌にまで及ぶ。凶。
剥がれはついに寝台を越え、その上に横たわる人の肌に及びます。陰の害が身に迫ったので、もはや「正しさを滅ぼす」とは言わず、ただちに「凶」とだけ言うのだ、と朱子は説明しています。
貫魚、以宮人寵、无不利。
魚を貫き、宮人を以て寵せらる。利しからざるなし。
魚を串に連ねるように、宮中の女たちを率いて寵愛を受ける。利しくないことはない。
魚も宮人も陰に属し、宮人は陰の美しさをもちながら陽に従う者だと朱子は言います。六五は陰たちのかしらとして、仲間を串に通した魚のように一列に連ね、上の陽に従わせます。剥がす側の勢いを陽への従いへ向け直す姿で、そうであれば利しくないことはないとされます。
碩果不食、君子得輿、小人剝廬。
碩果(せきか)食(くら)われず。君子は輿(くるま)を得、小人は廬(いおり)を剥す。
大きな果実が食べられずに残る。君子なら車を得るが、小人なら住まいを剥ぎ落とす。
上九は上に残る一つの陽で、剥ぎ尽くされずに再び生まれる力をもつ、食べられなかった大きな果実です。君子がここにいれば多くの陰に担がれて車を得ますが、小人がいれば剥がれが上で極まり、自分を覆う住まいまで失います。同じ象でも君子と小人で占が分かれるところに聖人の心がよく見える、と朱子は述べています。
今日の卦でこの卦が出たとき、何を読むかは変爻の数で変わります。変爻がなければ卦辞を、一本ならその爻の爻辞を読み、複数なら朱子『易学啓蒙』の規則に従います。
原文:『原本周易本義』四庫全書文淵閣本(漢籍リポジトリ KR1a0031 の翻字。校訂・句読:K-magpie)。書き下し文・現代語訳・解説:AI(Claude)が朱子『周易本義』の注をもとに書き、原文・注と照らして直しました。出典と校訂一覧は今日の卦の案内にあります。
この卦で正した字 — 爻の表示: 六四貫魚 → 六五貫魚